2009年8月9日日曜日

卵−8

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外に出てみたいと言ってみた
「なんで出たいの?」
「2個の太陽を見てみたい」
「何で見たいの?」
「見たことないから」
「それから?」
「広い所へ出てみたい」
「なんで広い所へ出たいの?」
「なんか息苦しくって」
「なんか不満があるの?」
「いえ、ありません」
「外へ連れて行ってください」

車の中だけなら、いい、と云う事だった。
ただし、男性の恰好ではまずいので、女装してもらうという事だった。
175cmの女医の服は170cmの私には丁度合いそうだった。

彼女の着付けで、下着から着けさせられた。
「どう?  気分は?  気持ちいい?   フッフッフッフ。」
とんでもない、とは言えないので、ちょっとうつむいていた。
ブラジャーはさすがにつけなくてもいいという事になってほっとした。
「本当は付けたいでしょ?   フッフッフッフ。」
冗談じゃない!
ワンピースを着せられた。
顔を白く塗りたくられた。
口紅を塗られた。
アイシャドーを付けられた。
そのたびに何かしら、だんだんと人間から彼女のおもちゃに変わっていくように感じた。
「立って見せてごらん」、と言われ立ち上がった。

突然、彼女は私の両耳を引っ張り上げて鼻をくっつけるように顔を寄せてきて言った。
「逃げようと考えないことね。   どうなるかわかってるわね?」
「は、は、、、ハイ。 分かっています!」
「フン!」

「靴はスニーカーでいいよ!」
「車に乗るからおいで!」
「ハイ!」

マンション駐車場から車は出て行った。
助手席からみると、確かに影が全部2重、2方向に伸びている。
僅かに上の方を除くと、あまりまぶしいというほどではない橙色の太陽と真っ青に見えるぎらぎらとまぶしい太陽が合わせて2個見える。
街の景色は見慣れたものと変わらない様に見えた。
ただ、男性の歩く姿が全く見えない。
女性もみんな若い。しかも私より背が高い人ばかりである。
スタイルのいい、美人ばかりである。
優子の横顔をまじまじと見た。
彼女たちより一段美人顔なので、どういう訳かホッとした。
「どう? 私の方がきれい?」
「え?」  どうしてわかるのだろう。
「フッフ。  心の中をどうして見られているか、と思ったの?」
「こんなきれいな人達の相手をしているだけなのは楽しいけれど、、、、家に帰りたいなーー」
「おうちに帰りたいの?」
「うん」
「君のおうちは、私のマンションなの、間違えないでね」
「はい」

桑園駅の前を通りそのままJACOSの前を通り、はんこ屋の通りを左折、京王プラザホテルを通り、盤珪ソバ屋の前の通りを右折した。
ヨドバシカメラの表玄関の前を通り紀伊国屋書店の手前を右折、TWO−TOPの前で車を止めた。
「ちょっとここで待ってなさい」といって彼女は店の中に入って行った。
10分程して大きな荷物を持って出てきた。
後ろの座席にそれを放り込んだ。
「何買ったんですか?」
「24inchのディスプレイ。1万5千円だった。今度お友達からパソコンをもらうの。それ用よ」
「あ、安い。僕も欲しい」
「フン、  おうちに帰りたいの?」
「ハイ」
「あきらめなさい」
「はい」

そのままマンションに戻った。
ディスプレイは私が運ばされた。
だから、スニーカーなのか。

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