そんな中、卵からかえったばかりの人間の雛に対する性転換実験がくりかえされていた。
卵をそのまま孵化させた女性は、順調に育ち6年後には小学生、15年後には中学を卒業し、高校生になると同時に社会人としての成人としてとうろくされた。
平均身長も170cm、体重も50kg。
女性として孵化させる卵は、人口の減少を止める程度の数に限られ、残りは全て男性化の実験のために使われていた。
また、ごく少量が食用として高級レストランなどに供給されてもいた。
男性化の実験は思うようには進まず、ひとまずX染色体の一つをY染色体に変えることには恒常的には成功していたが、何故か、身体の成長が卵からかえった後、殆ど止まってしまったままなのである。
形もかなり歪なものだった。
長さ15〜20cm、直径3〜4cmの陰茎に直径4cm位の睾丸を2個収めた袋が、目立った外観であった。
頭や手足は一応くっついてはいるが、いずれも2cmくらいの直径と、4cm程度の長さのものが付いているだけで、歩きまわることは殆どできなかった。
陰茎部分を刺激すると、むくむくと大きく固くなり、やがて射精に至る。
射精される精子は、一応元気な状態であるが、性染色体は全てXであり、Y染色体は作られなかった。
つまり、遺伝子操作種子と同じく、男性染色体は、染色体操作した、その1代限りの効果しかなかった。
従って、出産は国策産業化しており、女性は18歳から40歳まで毎年1個ずつ卵を産むように、法令化されていた。
一般的な一人の女性が生涯で産む卵は22個程度と決められていた。
受精後3カ月程度で卵を産むようになり、3カ月程度で孵化し、3カ月程度人口保育器で育てられた。
卵を産む作業は、駅の近くに設けられている孵化工場出張所で、1人30分程度で行われ、孵化工場へ搬送されていた。
これら一連の処理工程については「子供を産む道具にかんする法」で女性の役割や行動規範が規定されていた。
一方、男性については、「子供を産む道具の維持に関する部品の取り扱いを規定する法」で使用方法、保存方法、廃棄方法について定められていた。
男性は、女性の維持のための消耗品として規定されていたのである。
その意味では牛や豚の方が高級とされ、ペットの猫や犬よりも生き物としての扱いは粗雑であった。
孵化後1週間以内に性転換操作が行われないと、男性化はできなかった。
男性転換された人間は、寿命は30年程度はあったが、実際には工場で成人化させられて女性に供給された後は1、2年程度で寿命が尽きてしまう者が多かった。
それは、勃起した場合、心臓に負担がかかり、射精時に心臓が痙攣する事が多く、弱い男はその時の1回限りかせいぜいで数回程度の射精で死んでしまうし、強い男もせいぜいで50回程度しか心臓が持たなかった。
女性が妊娠のための他、快楽のために男性を使用すると、男性の負担が大きく、どんなに強い男でも1か月も女性から連続して使用されると役目を終えて死んでしまった。
このような社会に2010年からタイムスリップした男の冒険物語である。

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