中村ハウス株式会社、略してNHK。
建築物の模型を制作している会社である。
以前のように粘土や木、紙等で工作するのではなく、建築会社から提供された図面を3Dプリンターで制作して提供していた。
それだけでは営業的に不安定なので、最近は介護ロボットの表面にかぶせる人体模型を、これもロボット会社から提供された図面を元に、丁度その表面を覆う形で、3Dプリントし、これをロボットにかぶせる商売を始めていた。
コラーゲン由来の素材が安価に大量に提供されるようになり、収益は安定していた。
そうこうするうち、突然にとある中国企業からインターネットに、あなたのお好みの女性の本物そっくりの人体模型を提供します、という広告が出始めた。
その中国の会社は、たまたま見たNHK製の介護ロボットを見て、ヒントを得たのであった。
中身をロボットではなく、骨格標本にすれば、まさに人体そのものの模型が作れると。
これは、世の中のスケベ男性に売れると。
モデルは、卑弥呼、楊貴妃、マリリン・モンロー、ブリジット・バルドーとした。
1体は10万円とした。
ただし、裸体写真を送れば、それに似せた模型を、これは1体100万円で制作するとした。
卑弥呼は日本で、楊貴妃は中国で、マリリンはアメリカで、ブリジットはヨーロッパで大量に売れ出した。
オーダー品は、年収1億円以上の世界のセレブ達に飛ぶように売れた。
この中国の会社は、豊田BODY SYSTEM、略してTBSと名乗っていた。
インターネット通販で販売、梱包は木箱に入れられて送付されてきた。
木材は、中国で大量に伐採されているものだった。
しばらくすると、世界中で、男性の不審な窒息死が相次ぐようになった。
実は、輸送中に木箱に潜んでいた粘菌が、人体模型の丁度、肛門の穴から入り込み、中で増殖していた。
輸送中は冷えた状態なのでジットしているが、夜、ベッドなどで男性と一緒に暖ためられていると、じわりじわりと動き出すのであった。
そして、より暖かい場所を求めて、隣に寝ている男性の顔の上に覆いかぶさってゆくのであった。
男性の方は、夢見心地で、人形とキスをしているような錯覚に陥っていたが、やがて口や鼻を覆われ、窒息死してしまうのであった。
冷えると、またもとの形に戻り、人形に戻るのであった。
従って、死因は各国でも不明のままになっていた。
1年もすると、中国やアメリカ、ヨーロッパ、日本の若い男性の数は半減してしまった。
また、地球温暖化で赤道付近の海水温度は平均30度以上となり、春夏は大量の降水に世界各地が見舞われるようになった
あるとき、この人体模型を乗せた車が、洪水を起こした国道を突っ走っていた。
突然に、外れたマンホールに車輪を取られ、反転、運転者は死亡、中に積んであった人形は、開いたドアから洪水の道路に投げ出されてしまった。
すると、人形は突然に分裂をはじめた。
次々と分裂し、たちまち道路上に数十の人形が散らばり始めた。
同じようにそこを通りかかった車の運転手は、最初は人間が浮いていると思い、急停車して助けようとしたが、抱き上げてみると人間ではなく、どうも人形のようであった。
多くはそのまま放っておいて通り過ぎたが、何割かは人形を抱き上げて自分の車に乗せて立ち去った。
このようにして、この人形は全世界に広まってしまった。
それから10年後、北半球の諸国の人口は、成人男性が殆どいなくなり、人形と女性、子供ばかりになっていった。

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