この頃には遺伝子治療の研究が実用レベルまで進んでいたが、まだ政府の倫理委員会で一般の医療に使用することは禁止されていた。
老人人口が増えすぎて、社会政策が成り立たなくなるからである。
一方、放射線によるがん治療はかなり進歩していた。
2000年代までは1方向から放射線を当てるため、その経路の細胞に大きなダメージを与えており、それが治療の障害となっていた。
2030年代は、患者を生体のまま、ガン細胞を光らせる医療技術が確立していた。
そして、その光る点に向かって患者の周囲20〜50方向から、丁度交点がその光るガン細胞になるように弱い放射線を当てる医療技術が完成していた。
また、この交点も効果を見ながら移動させることも可能で、血流に紛れたガン細胞を追いかけながら照射する技術も確立されていた。
その他、ガン細胞の中に潜り込んで自爆する薬剤の開発も完成しており、ガン治療については外科手術による治療は姿を消していた。
糖尿病治療も、脳死判定に抵触しない、死体からの膵臓移植が一時流行し、糖尿病患者数は激減した。
糖尿病は簡単に治癒する病気になっていた。
しかし、細胞培養技術が進化し、患者のすい臓細胞抽出、DNA治療により正常な状態にした後、これを増殖させ、患者本人の膵臓と入れ替える治療技術が完成していた。
糖尿病もまた、完全に治癒する病気になっていた。
腎臓人工透析も、一時、透析機械のコンパクト化、高性能化が進み、ナノ技術によりフィルターも直径10ミクロン程度の中空糸の完成や厚さ10ミクロン程度の半透膜フィルターの完成により、10cm四方厚さ5cm程度の携帯型が完成していた。
これにより通院の必要はなく、1回/週程度、患者が自宅でフィルターを取り替えることで済むようになっていた。
しかしこれも、生体培養技術が進歩し、患者から腎臓細胞を取り出し、DNA技術により正常な細胞にした後、培養し患者本人の腎臓と入れ替える治療技術が完成していた。
腎臓病もまた、完全に治癒する病気になっていた。
心臓については患者から採取した細胞を培養することにより心臓を発生させ、移植する技術が完成していた。
これらにより、発生時に異常/奇形を持って生まれることは殆どなくなり、また人生の途中で病気になっても、完全に元の健康体に回復する医療技術が確立されていた。
しかしテロメアについては人口増加の問題があり、DNA治療は禁止されていた。

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